安倍自公政治終焉の体制確立は今年が勝負 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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昨2017年の10月衆議院総選挙が実施された。安倍政治を終焉させる絶好のチャンスだったが反安倍陣営の体制が確立されずに自公勢力の3分の2維持を許してしまった。2019年夏には3年に1度の参議院通常選挙が行われる。衆院選直後のこの時期こそ次の総選挙に向けての体制を確立する一番重要な時期になる。

選挙が終わると脱力してしまい、新しい体制の整備が遅れる。選挙はまだ先のこととの感覚が強まり対応が遅れてしまうのだ。そうこうしているうちに時間が経過してしまい、選挙の時期が近づいてくると、それぞれの勢力が慌てふためき始める。

政権与党は、憲法上正しい対応とは言えないが、野党の情勢、政治経済情勢を睨んで、与党にとって最も有利なタイミングを選んで選挙を実施する。現行の解散総選挙の制度は与党に圧倒的に有利になっている。

2012年の選挙で第2次安倍政権が発足してから2014年、2017年に衆院総選挙が実施されたが、いずれの選挙も安倍政権与党に対峙する勢力の大同団結が実現せずに選挙が実施されてしまった。2014年12月の選挙は、安倍政権が2015年10月の消費税再増税を延期することを打ち出して選挙を乗り切ってしまった。

2017年10月の選挙は、民進党のスキャンダルに付け込み、もりかけ追及国会を吹き飛ばして解散総選挙に打って出た。そのタイミングで希望の党が創設されて、反安倍陣営の分断が実行された。このために、安倍自公政権が衆院3分の2議席を維持してしまった。

過去をとやかく言っても生産的ではないが、過去を省みて、そこから学ぶことがなければ未来を拓けない。日本政治を刷新するために、いま大事なことは、この選挙直後のこの時期に、次の選挙に向けての体制確立を急ぐことである。

この時期に緩んでしまい、次の選挙を「先のことだ」と体制確立を怠ってしまうと、これまでの繰り返しになってしまう。この時期にこそ、積極的に動くべきである。

安倍政治を支持する人はいるが、安倍政治に反対する者も多い。しかし、いくら安倍政治打倒を叫んでも、まとまって行動しなければ力にならない。とりわけ、小選挙区制の選挙制度を踏まえれば、この点が一番重要になる。

選挙制度そのものに対する論議はあるが、現行制度が小選挙区制度を基軸にしている以上、これを前提に戦術、戦略を構築することが必要なのは当然だ。新しい年を迎えて、気持ちも新たになったこの時期に、次に向けての戦略、戦術をスタートさせることが大事なのだ。

オールジャパン平和と共生が提案してきたことは、「戦争と弱肉強食」の安倍政治を「平和と共生」の政治に刷新すること。そのための行動の基準として、政策を基軸に、党派の壁を超えて、主権者が主導して政治刷新を実現することを提唱している。

政治を刷新するには選挙で勝つことが必要である。その選挙で勝つためには、現行の選挙制度を踏まえた戦術を構築することが必要である。すなわち、反安倍勢力の候補者を一本化することが何よりも大事になる。

政治に大きな変革のうねりを引き起こすには、人々の心が動く必要がある。主権者である国民が新しい方向に向かって手を取り合って動き始めるときに、大きな変革のうねりが巻き起こるだろう。人々の心が動くためには、人々=主権者の琴線に触れる明確な方針が必要である。

安倍政治に問題が多いと感じている主権者は多いだろう。しかし、安倍政治がダメだと言っているだけでは人々は引き付けられない。安倍政治の何をどう変えるのか。この点を明確にして、すべての人々に訴えかけることが大事だ。

私たちの目の前には、戦争・憲法、原発、経済政策という重要な問題がある。戦争法制・憲法改悪に反対する主権者は多い。原発稼働に反対する主権者も多い。これは基本になる重要な政策方針である。

しかし、それだけでは十分でない。やはり、人々の日々の暮らし、国民の生活こそ、やはり重要な基本である。2006年に民主党代表に小沢一郎氏が就任して以降、民主党は奇跡的な大躍進を実現した。その最大の契機になったのは、小沢一郎氏が明示した「国民の生活が第一」という路線だった。

すべての国民に語りかける「国民の生活が第一」の政策路線こそ、政治刷新を生み出す原動力になった。国民生活が疲弊している。この国民生活を本格的に立て直すこと。これこそ、いま求められている政策方針である。

新しい政策方針を明示して、政治刷新の大きなうねりを、再び引き起こさなければならない。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。