<業界40年の放送作家が語る>主要全局で仕事をして「一番良いテレビ局」ってどこ?


高橋秀樹[放送作家]
2014年8月9日

 

40年近く放送作家の仕事をしていると、在京民放キー5局・NHK、大阪の準キー5局、名古屋の準キー5局、全部の局で何らかの仕事をしている。 それぞれの局に色があるが、僕が体験したエピソードで特色を感じてもらうことにする。

◆日本テレビ

「うわさのチャンネル」という番組で、僕は5人ほど居る作家の中で最も下だった。だから、というのもおかしいと思うが、みんなの出前の注文を僕が取りまとめて注文していた。注文表どおりに配るのも僕。みんなが半分くらい食べ終えたころ、総合演出が大きな声で怒鳴った。

「高橋、オレが頼んだの親子丼だぞ、これカツ丼じゃねえかバカヤロウ」

鬼の形相で怒っている。「半分食べる前に気づけ」と僕は思ったが、ぺいぺいの悲しさ、とっさに謝っていた。チーフディレクターがとりなしてくれた。

「オレの親子丼、まだ食べてないすから、どうぞ」

◆TBS

「風雲たけし城」担当ディレクターから、電話が来た。

「センセイ、困るんだよね手を抜いちゃ。あのコントの台本、何よ。ぜんぜん面白くない」

信用しているディレクターだったから、僕はあわてた。

僕「え、面白いと思ったけど」

ディレクター「だめだめ、最初さあ、鬼の格好して、渡嘉敷さんがでてくるでしょ」

僕「なにそれ?鬼の格好なんかさせてないよ」

事情が分かった。僕がADのN君に渡した原稿を、失くした。それであわてたN君は、怒られると思って、自分でコントを書いて、僕の原稿だといって担当ディレクターに渡していたのだ。担当ディレクターが「面白くない」と思ってくれて、よかった。

◆フジテレビ

小堺一機の主演でDVDのコメディを作ることになった。ホテルに缶詰になって案を練った。ほとほと疲れるほどギャグを考えた。終わって一番疲れる役をふられた。

「台本にしといてね」

これには3日かかった。製本に出して台本が出来た。その後1ヶ月ほど監督(フジテレビ)から連絡が途絶えた。フジテレビの廊下で監督とすれ違った。

「ひさしぶり。小堺の話なんだけど、カネだしてくれるって言った社長が逃げた」

僕は、台本は取っておかないタイプだが、この台本「父、帰らない」だけは30年経った今も保存してある。

◆テレビ朝日

当時はまだNETといった。「ザ・ベストカップル」という下請け制作の番組だった。視調率が低迷していた。局の編成マンが会議に来てぶりぶり怒っている。

「工夫がないんだよ、ラーメンとか取り上げてチャンと数字取れよ」

当時ラーメンはどの局でも視聴率を取っていた。番組は、ラーメンを扱うような番組ではなかったが、“工夫して”ラーメンを取り上げた。視聴率はそれでもというか、やっぱり取れなかった。次の会議に編成マンが来て言った。

「オレはね、ラーメンとか、そういうので数字を取りにいくの嫌いなんだよね」

◆テレビ東京

当時は東京12チャンネル。何回か行ったが印象にない。

◆NHK

「英語会話Ⅱ」。こういう仕事もするのである。でも書いているのはコント。僕の書いた日本語のコントを大学の先生が翻訳して素人の外国人が演じる。50代のディレクター、やっぱり50代にしか見えないAD、作家の僕。会議室にこもってNHKの2人は台本を黙読する。僕はじっと見ている。静かでいやあな時間だ。1持間ほど経って50代のディレクターが口を開く。

ディレクター「原稿読み終わりました。3番目までのコントは拝受いたします。ただ、4番目の福笑いのコント、これはダメです」

僕「面白くないですか」

ディレクター「いや、福笑いで笑うのは、眼の不自由な方を馬鹿にしています」

僕「あああああああ、そうですか」

では、問題です。以上5局、僕が一番、相性のいい局はどこでしょう。

 

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