<原発停止が招く電気料金の値上げ>北海道民のおカネが「1日6億円」も海外に流出し続ける!


石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

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(本記事の内容は、11月12日[水]12時30分からのニコニコ生放送『石川和男のエネルギー世論を斬る!vol.23』にて放送致します※http://live.nicovideo.jp/watch/lv199396743

九州電力・川内(せんだい)原子力発電所1・2号機の再稼働について、先週ようやく、地元の鹿児島県知事の同意が出た。だが実際の再稼働は、年明けに持ち越される。

2011年3月の東日本大震災以降、日本国内の全ての原発が停止し続けている。原発を停止すると、その分を火力発電で代替しなければならない。その主な燃料はLNG(液化天然ガス)や石油であるが、それらの値段は原子力に比べてかなり高い。だから、原発停止が長引くと追加的な燃料費や購入電力料(以下「追加燃料費等」)が巨額になるため、電気料金を値上げせざるを得なくなる。

北海道電力でも、泊(とまり)原子力発電所1~3号機の全てが止まり続けている。主に石油火力発電の追加燃料費等が嵩んでおり、2013年9月1日に値上げした。この時は、1号機が2013年12月に、2号機が2014年1月に、3号機が2014年6月に再稼働する前提で、家庭用は7.73%、産業用は11.00%の値上げ幅であった。

だが、泊発電所の再稼働は未だ予定が立っていない。そこで今月1日、再び値上げした。1号機が2016年1月、2号機が2016年3月、3号機が2015年11月に再稼働する前提で、家庭用は2015年3月まで12.43%、それ以降15.33%の値上げ、産業用は2015年3月まで16.48%、それ以降20.32%の値上げ幅だ。

つまり、震災前に比べて、家庭用で2割以上、産業用で3割以上の値上げとなってしまう。この値上げ分(追加燃料費)は予定外の出費。いったいどのくらいの金額に上るのか、公開資料[註]を素に試算してみたい。

泊発電所の全3機が稼働していた2010年度の燃料費等と、その全3機が停止していた2013年度の燃料費等を比較する。そして、その金額の差(追加燃料費等)を、泊原発の年間稼働日数(365日×稼働率)で割ることで、1日当たりの追加燃料費が算定される。

1年間の追加燃料費等   = 2013年度の燃料費等 - 2010年度の燃料費等

              = 約3,230億円 - 約1,212億円 = 約2,018億円

1日当たりの追加燃料費等 = 1年間の追加燃料費等 ÷(365日×稼働率)

              =約2018億円 ÷(365日×89.7%)

              =約6.16億円/日

これは、北海道民のおカネが「1日6億円」も予定外に海外の資源国に流出していることに他ならない。政府は、こんなことをいつまで続ける気なのか?次の統一地方選までか、参院選までか、衆院解散総選挙までか?

安倍政権は、原子力規制委員会の規制運用を早期に改善し、一刻も早い発電再開を容認すべきだ。安倍首相がその旨を会見するだけで十分である。原発停止は、アベノミクスの最大の足枷の一つとなっている。

<註:参照した公開資料>

  • 泊発電所の設備利用率(http://www.hepco.co.jp/ato_env_ene/atomic/data/availability.html)
  • 北海道電力の燃料費(http://www.hepco.co.jp/info/2014/__icsFiles/afieldfile/2014/07/31/summary_revise.pdf)

 

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石川和男

石川和男(いしかわ・かずお)NPO法人社会保障経済研究所・理事長。1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。1989年、通商産業省(現経済産業省)入省。エネルギー政策、産業保安政策、産業金融政策、中小企業政策、消費者政策、物流・流通政策などに従事。2007年3月、経済産業省を退官。2008〜09年、内閣官房・国家公務員制度改革本部、東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授、政府の規制改革会議、行政刷新会議WGなどの委員を歴任。