<大腸ガンは治る時代>手術後5年の生存率90%でも死亡者が多い理由は「患者の姿勢」


松井宏夫[医療ジャーナリスト]

***

今年1月に国立がん研究センターを中心とするグループが、驚きの調査結果を発表した。なんと大腸がんの手術を受けた患者の5年生存率が90%を超えたという。

調査対象はステージ(病期)ⅡとステージⅢ。ステージⅡはがんが大腸の壁の深くまで入り込んでしまった状態、ステージⅢはがんがリンパ節に転移してしまった状態である。その状態の患者がどちらも術後90%生存していたのである。

消化管のがんなので、これは治癒したといえる。これ以前に行われた同じ調査では、5年生存率がステージⅡで約80%、ステージⅢで約70%だった。これはこれですごいが、それをはるかに超えたのである。

この結果から推測すると、ステージ0やステージⅠは内視鏡治療や腹腔鏡手術なのでほぼ100%であろう。こうなると大腸がんではほぼ亡くなることはない、ということになる。

ところが、それとは矛盾する事実がある。

大腸がんの年間罹患者数は約11万人。死亡者数は年間約4万5000人で肺がん、胃がんに次いで第3位。治る大腸がんのはずが、これほど多くの人が亡くなっている。

それは検診の受診率が男性約40%、女性約35%と低いことに加え、1次検査で引っ掛かり、精密検査といわれたにもかかわらず、約50%の人が精密検査を無視してしまっているのである。大腸がんの治療が良くなり、“大腸がんは治る時代”なのに、あまりに残念としかいいようがない。

検診を受けたところでとどまらず、しっかり最後まで検査を受けないと、安心は担保されないことを知るべきである。

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.
松井宏夫(まつい・ひろお) 医学ジャーナリスト 1951年 富山県生まれ。中央大学卒。日本ドキュメントフィルム助監督、『週刊サンケイ』を経てフリーに。最先端医療やがん医療を精力的に取材。名医本のパイオニア。日本医学ジャーナリスト協会幹事、東邦大学医学部客員教授。最新刊に『がんと闘う!名医と最新治療』(主婦と生活社)。著書多数。