<「オトナ女子」がおもしろくない理由>完璧なキャリアウーマンに都合の良すぎる物語展開では誰も共感できない


河内まりえ[メディアゴン編集部]

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主役を務める篠原涼子のブランド衣装が話題になっているドラマ「オトナ女子」(フジテレビ)。

女子会を繰り広げる中原亜紀(篠原涼子)、坂田みどり(鈴木砂羽)、大崎萠子(吉瀬美智子)のアラフォー女子三人。主役の亜紀を中心に、この三人の恋愛模様が話の中心に据えられている。

筆者はこのドラマを観て、全くおもしろいとは思えなかった。もちろん「おもしろくない」と思ったのは筆者だけではないらしく、視聴率も芳しくないようだ。ドラマ批評でも手厳しいものは少なくない。

なぜ、「オトナ女子」はおもしろくないのか。その理由は実にシンプルで、「設定にリアリティがなさすぎる」ということだ。もちろんドラマだから、リアリティを完璧に追及する必要はない。だからといって、全くリアリティがないドラマになってしまえば、視聴者が感情移入したり、共感することはできない。つまり、「おもしろくない」のだ。

その「リアリティのなさ」の原因の一つは、主役・亜紀を演じる篠原涼子に「隙」が感じられないことだ。

服装も完璧、髪型もまるで絵に描いたようなキャリアウーマン姿。本当に恋愛に悩んでいるのかと疑ってしまう。細身のパンツにヒール、ジャケットをわざとめくり上げて手首を強調したファッション、髪を無造作にかきあげる色気のある姿に思わずどきっとさせられる。

・・・というぐらい、まるで生活感のない亜紀のキャリアウーマン像だ。「こんな人、実際のアラフォーにいる訳ないだろう!」とツッコミを入れたくなる。

もちろん、おもしろくない原因は、主人公のリアリティのなさだけではない。ストーリーもしかりで、物語の展開が主人公に都合の良いように進みすぎている。

例えば前話で、亜紀が元彼の山岡伸治(斎藤工)に若い彼女ができたという理由でフラられ、深く傷ついていても、次の回では、亜紀には新しい恋人候補の男性・池田優(平山浩行)が現れ、すでに良い雰囲気になっている。フラられたと思えば、受け身でいるうちにすぐに新しい恋愛が始まっている都合の良さだ。

視聴者の多くは、少なくともテーマにしているアラフォー女子からしてみれば、もっと亜紀には試練を与えられる姿、そしてそれに立ち向かう姿が見たいはずだ。それがリアリティであり、共感を生む。

恋愛の愚痴をお決まりの女子会で話す亜紀だが、ここでも愚痴を好きなだけ言うだけで自分からは行動を起こすわけではない。恋愛に悩むアラフォー女子を描きたいなら、女子会で愚痴を言い合っているだけでは物足りないし、ドラマとわかっていてもなお、リアリティがわかない。

妙にわざとらしい愚痴のシーンなどを見ると、こんな女子会を本当にやっている人たちはいるのだろうか? と首をひねってしまうほどだ。

アラフォーの恋愛ドラマであるにもかかわらず、亜紀は常に相手や周囲に流される受け身の主人公になっている。亜紀を主体的にすることがリアリティと共感を生むだろうし、亜紀をもっと苦しめた方がドラマとしてもおもしろくなるのではないか。

一見スマートに見える男たちの対応も、ストーリーをどんどん残念な方向に導いているように見えてならない。

視聴率と評判の芳しくない本作がおもしろいドラマになるか、それとも残念な方向に導かれたまま終わってしまうのか。その点は少々気になるところだ。

 

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河内まりえ

河内まりえ(かわうち・まりえ)1987年東京下町生まれ。明治学院大学社会学部社会学科卒業。もんじゃと熱いお風呂と神輿好き。会社員をしながら文筆修行中。「メディアゴン」にてライターデビュー。