<熊本地震>NHKは緊急ニュースを制限をかけずにネットで同時放送をすべき[茂木健一郎]


茂木健一郎[脳科学者]

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先日の熊本地震の一報を知ったのは、ミラノでのセッション中だった。ヤフーニュースアプリの臨時ニュースのアラート機能で、スマホに「震度7」という知らせが来たのである。すぐに、サイトで確認して、周囲の日本人に知らせた。

セッション中ではあったが、ネットでいろいろ情報を収集しているうちに、NHKのnews webがネット同時提供中だと知った。さっそく、アクセスすると、スタジオからの映像が見られた。たいへん貴重な情報だった。

そのことをツイッターで書いたら、外国にいる他の方は、地域制限で見られないという指摘をいただいた。後に、ホテルに戻ってやってみたら、本当にそうだった。スマホの海外ローミングを使っていたため、見ることができたらしい。

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地震などの重大なニュースをネットで同時提供する時、地域制限を外すかどうかについては議論があると思う。「制限があるべきだ」という理由はわかりやすい。NHKの放送が受信料に基づくものだから、その受益者(負担者)は国内にいる、という論理である。

一方、「地域制限を外すべきだ」という議論にも説得力がある。海外に旅行中の日本人(その多くは受信料の負担者だろう)や、海外に居住中で、日本に家族や友人がいる人たち、あるいは日本語や日本に興味のある外国人にとって、ネット同時提供のニュースは貴重な情報源だ。

ひとつ事実として書いておきたいのは、BBCのポリシーである。BBCのネットでの番組提供は遥かに先行していて、iPlayer では一部を除いて全番組が過去1ヶ月に遡って視聴することができる。しかし、普段は地域制限がかかっている。

iPlayerに地域制限がかかっているのは、BBCの受信料を負担している人がイギリス国内にいる、という理由で、NHKと同じであろう。しかし、BBCは、重要なニュースの時は、ニュースをwebで提供して、しかも地域制限をかけない。

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受信料の成り立ちや、公共放送としての性格がNHKに似ているBBCが、重要なニュースの時には地域制限をかけずにwebで同時提供しているということは、その理由付けも、NHKが採用できるものであるはずだ、ということを強く示唆する。

これは私見であるが、今回の地震のような重要なニュースの時は、NHKは地域制限をかけずに、ネット同時放送をすべきだと思う。その際の理由付け(正当化事由)は、BBCのそれが参考になるはずだ。すでにご検討されているかもしれないが、これを機会に是非実現に向けてがんばっていただきたい。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。