<エリザベス女王が中国を「とても非礼」>メンツを重んじる中国の傲慢と英国の繊細な思いやり[茂木健一郎]


茂木健一郎[脳科学者]

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エリザベス女王が、先日の習国家主席の訪問に際しての中国側一行の対応について、「とても非礼だった」(very rude)と発言されたというのが話題になっている。BBCのサイトには、その動画も掲載されている。

動画を見ると、女王は自らお話になられたのではなく、案内の男性が紹介するときにそのような文脈を持ち出し、警備を担当した女性警察官が発言されたことに対して、簡潔に、しかしずばりと発言されていて、その切り返しの速さと正確さに感心した。

中国が経済発展し、大国意識が出てくる中で、どうしても、「傲慢さ」が表れてきてしまうのだと思う。ところが、英国という、歴史と文化の積み重ねがある国でそれをやってしまうと、儀礼的にはかなりまずいことになってしまう。

中国の価値観として、しばしば、「面子」(メンツ)を大事にする、ということが言われるが、そのことと、英国流の儀礼は少し違う。英国流の儀礼は、相手のことに対する繊細な思いやりであり、面子はむしろ、時に不寛容や硬直につながる。

中国国内では、BBCの放送のうち、当該部分だけがカットされたようだが、このような、送り手側の編集意図を無視した、一方的な検閲も、「面子」を重んじた結果だろうけれども、結果として傲慢であり、繊細さに欠ける。

それぞれの国の文化や伝統には、可能性がある一方で、限界もある。中国の「面子」という価値観には、限界がある。中国はどこに行ってしまうのだろうか。中国が、相手の異なる価値観に配慮した、繊細な対応の文化を育むことを、心から望む。もはや大国なのだから。

そして、今回の女王の発言に見られた、繊細で、しかし簡潔に本質をずばっとおっしゃって、毅然としているという英国の文化の最良の部分は、やはり素敵だと思う。私の英国びいきは、このあたりにあるのだなと思った。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。