<路線対立鮮明の民進党>代表選よりも党分割協議こそ急務 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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民進党の代表選に出馬した前原誠司氏と枝野幸男氏の主張を見ると、目指す政治の方向がまったく異なっていることが分かる。

最も重要な基本政策課題である、「原発・憲法・消費税」について、両者の考え方は基本的に対立している。

*前原氏が原発容認、憲法改定推進、消費税増税推進

であるのに対し、

*枝野氏は原発ゼロ、憲法改定慎重、消費税増税反対

の主張を示している。これと平仄を合わせるように、次期衆院選に向けての野党勢力の結集についても、まったく異なる主張を示している。

前原氏が小池国政新党との連携を示唆しているのに対して、枝野氏は小池国政新党が自民補完勢力であるとの見立てを示している。要約して表現すれば、前原氏が小池国政新党と連携してでも、政権交代勢力を構築しようとしているのに対し、枝野氏は安倍自公政権との政策の相違を軸に共産党を含む野党共闘体制を維持して政権交代を目指すとの姿勢を示している。

つまり、同じ政党に属してはいるが、基本政策路線、基本政権樹立の方針がまったく違うのである。これをひとつの政党のなかで論じることのおかしさ、不自然さに気付くことが賢明な対応である。

小選挙区を軸にする選挙制度の下で政権交代を実現するには、与党勢力に代わる政権を担いうる第二勢力が登場することが必要不可欠である。その第二勢力のあり方について、前原氏が示す考え方と枝野氏が示す考え方がまったく違う。

したがって、代表選を戦うよりも、この相違を軸に、民進党を分党することを協議することが賢明である。民進党の議員がこの議論を推進してゆくべきである。

戦後日本の支配者は米国である。より正確に表現すれば、米国を支配する勢力が日本支配を続けてきた。このなかで、対日政治工作の主翼を担ってきたのがCIAであると考えられる。この米国の支配者が、日本に自公と第二自公勢力による二大政党体制を構築しようとしている。彼らは、民進党を第二自公勢力創設の方向に誘導しようとしている。

小池国政新党、渡辺喜美みんなの党勢力、江田憲司ゆい勢力、橋下徹維新勢力、松沢成文氏、細野豪志氏、長島昭久氏、そして、前原誠司氏勢力が合流して、第二自公勢力を創設する方向に事態が誘導されている。

CIA、CSISと連携していると見られる日本経済新聞は民進党代表戦報道を通じて、露骨に第二自公勢力の創設を誘導している。

8月21日朝刊1面トップで「非自民結集3度目の挑戦」の見出しで民進党「隠れ自公勢力」と小池国政新党との連携による「第二自公勢力」創設の流れを生み出すことに腐心する姿勢を示す。8月22日朝刊では、「非自民+α」の表現で同じ流れを誘導しようとしている。

しかし、最大の問題は、日本の主権者の多数が、安倍政治の基本路線に反対しているという現実が見落とされている。見落とされているというよりも、その最重要の事実を隠蔽しようとしているのである。

日本の主権者多数が安倍政治の基本政策に反対している現実が存在する以上、二大勢力の一翼を担う政治勢力は、最終的に必ず安倍政治の対峙勢力にならざるを得ない。目先のムードに流されることなく、政策を軸に対峙勢力の結集を図らねばならない。

民進党は前原氏と枝野氏のどちらが勝つにせよ、代表選後に分離・分割を実行するべきだ。代表選の論戦で、民進党が水と油の混合物である事実が改めて浮き彫りになった。この最大の「矛盾」を放置しているから、日本政治が沈滞しているのである。

日本支配勢力にとっては、民進党が分離して、自公と対峙する勢力が結集することが最大の脅威になる。かつての小沢-鳩山民主党こそ、彼らにとっての最大の脅威であった。この「過ち」を二度と繰り返さぬよう、彼らはあらゆる工作活動を展開してきた。

自公と第二自公による二大政党体制を構築しようとする彼らの誘導工作を打ち破らねばならない。安倍政治に対峙する本当の意味の「たしかな野党」勢力を結集することを怠らないならば、第二自公勢力の創出は、安倍政治対峙勢力にとって、文字通りの「天佑」になる。

確固たる信念を持って進んでゆきたい。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。