玉城衆院議員のオール沖縄候補者擁立が最善 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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9月30日に実施される沖縄県知事選。辺野古米軍基地建設の是非が最大の争点である。翁長雄志前知事の逝去に際して追悼のメッセージを発表した歌手の安室奈美恵さんが9月16日に宜野湾市でラストコンサートの舞台に立つ。

翁長氏の急逝によって、知事選が辺野古米軍基地建設の是非を問う選挙になることは沖縄の主権者にとって不幸中の幸いである。「沖縄のことは沖縄が決める」が基本である。面積が日本全国の0.6%でしかないのに、米軍施設の74%が沖縄県に押し付けられている。

その沖縄で、かけがえのない美しい海を破壊して、巨大な米軍基地を建設することが是認されるわけがない。安倍内閣が沖縄県の主権者の意思を踏みにじって、辺野古米軍基地建設を強行することを、なんとしても阻止しなければならない。

辺野古米軍基地建設反対の意思を持つ「オール沖縄」陣営の知事選立候補者の決定が難航していたが、翁長氏が8日に死去する前に、自身の後継の知事候補として、地元小売り・建設大手「金秀グループ」会長の呉屋守将氏と、自由党の玉城デニー幹事長(沖縄3区衆議院議員)の2氏を指名していたことが18日に判明し、情勢が急変した。翁長知事が2氏を挙げたのは、革新から保守まで幅広く支持をまとめられると考えたためとみられている。

琉球新報は、「玉城、呉屋氏のいずれかを擁立へ 沖縄知事選、翁長氏の後継指名重視」と伝えている。

「9月30日投開票の沖縄県知事選に向け、県政与党は19日夕、那覇市内で調整会議(議長・照屋大河県議)を開き、8日に死去した翁長雄志知事が生前残した後継に関する音声について協議し、翁長氏が後継に指名した金秀グループの呉屋守将会長(69)と玉城デニー衆院議員(58)の2氏のいずれかを擁立することを全会一致で決めた。」

沖縄タイムスも「翁長知事後継:県政与党、呉屋・玉城氏から選考へ「遺志は重い」」との見出しを付して、

「生前の翁長雄志沖縄県知事による後継指名が明らかになったことで、県政与党や労働団体でつくる「調整会議」が着手した人選作業は白紙に戻る。複数の与党関係者は「知事の遺志は重い」との認識を示しており、候補は知事が音声に残した金秀グループの呉屋守將会長(69)と、自由党の玉城デニー幹事長(58)の2氏から選ばれる公算が大きくなった。」

と伝えている。琉球新報は指名のあった2人に接触した上で、呉屋氏については、

「呉屋氏は18日、本紙に対して「出馬しないという考えは変わらない。翁長知事が伝えたというメッセージは後継の知事も経済人の一人として自分を支えたように引き続きサポートしてもらいたいという意味と捉えている。そういうことであれば微力ながら努力はしたい」と語った。」

と伝えた。これに対して、玉城デニー氏については、

「玉城氏も同日、本紙に対して、調整会議の照屋大河議長に「今の段階で出馬する意思はないことは伝えた」と明らかにした上で「(翁長氏の指名は)非常に重い。今の段階でわたしが行動を起こすことはない」と語った。一方で、所属する自由党の小沢一郎共同代表から「いろいろ考えて判断してと言われた。代表には状況が変われば報告すると伝えた」と述べ、含みを持たせた。」

と伝えている。現在の状況を総合的に判断すれば、玉城デニー氏が出馬の意思を固めることが最善であると考えられる。

玉城氏は「オール沖縄」の核心となる現職国会議員として、沖縄での国政選挙での「オール沖縄候補」の勝利に大きな力を発揮してきた。自身も小選挙区での勝利を重ねている。

何よりも重要なことは、「辺野古に基地を造らせない」ために確実に行動できる人物、政治的行動の表裏を正確に把握している人物、そして、人として信頼できる人物、を「オール沖縄候補」として擁立することである。

決して容易な選挙にはならないが、沖縄の主権者が連帯して、「辺野古に基地を造らせない」の一点で大同団結できれば、勝利を獲得することは可能であるはずだ。いまこそ、県民の総意を結集して団結の力を再興するべきだ。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。