「羽鳥慎一モーニングショー」が持つ最強の安定感

高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]

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朝の情報番組を立ち上げるには、中心の司会者と、1人から3人のコメンテータをキャスティングできれば、立ち上げの仕事の70%は終了である。

これまで最低2つは成功した朝の情報番組を立ち上げた筆者の放送作家としての経験則である(『みのもんたの朝ズバッ!』『はなまるマーケット』)。経験則だから、古くなるのであり、更新することが必要であるが、今のところまだ使える。

残り30%は、内容、音楽、見術セットなどである。特に「内容」についていうと、テレビ局はこの「内容」を任せられるディレクターを育ててこなかったように思う。曜日毎に最低2人は必要だが、そこが育てられていないので、元々の感覚の優れている「できるディレクター」が1人ぐらいいる、というのが実情だろう。

となると、より重要になるのが、70%の部分を占める「キャスティング」である。『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)は、この部分で他局を圧倒している。圧倒しているから、視聴率でも他局の追随を許さない。

[参考]岡江久美子さんと『はなまるマーケット』の想い出

この強さを、軽く示した好例が1月4日(月)の放送であった。まずメンバーを紹介しておこう。

*羽鳥慎一(1971年生まれ):元日本テレビ男性アナウンサー。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、日本テレビ入社。野球の実況をしたかったためである。現在フリー。

*山口真由(1983年生まれ):日本の弁護士、ニューヨーク州弁護士、専門は(英米法:家族法)。元財務官僚。東京大学法学部を卒業。ハーバード大学法科大学院修士。

*玉川徹(1963年生まれ):テレビ朝日報道局局員。報道局の主任として『スーパーモーニング』などの番組でディレクター、リポーター。京都大学大学院農学研究科修士。

*ゲスト・瀬古利彦(1956年生まれ ):元マラソン選手、陸上競技指導者。日本陸上競技連盟の強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー。南カリフォルニア大学在籍。早稲田大学教育学部卒業。

*石原良純(1962年生まれ):タレント、気象予報士。慶應義塾大学経済学部経済学科卒業。

番組でコロナの話題が終わって、5分ほどの箱根駅伝の話題になった。最終10区でのレースは日蓮の法華経(創価大学)を道元の曹洞宗(駒澤大学)追う史上稀に見るデッドヒート。結局、曹洞宗が法華経を抜き去り優勝した。前回覇者のプロテスタント米国メソジスト監督教会(青山学院)は4位に終わった。

このことについて、次のような会話がなされた。

最終区に限らず、駒澤大の大八木監督はランナーに「男だろ」と伴走車から声を掛けて鼓舞し続けていた。

羽鳥「最近の子は萎縮しちゃうんじゃないですかね」

玉川「僕は、ジェンダーの人はひっかからないんだろうかと気になってました」

山口「男だろと声を掛けないと走れないのは納得できないです」

瀬古「監督はそこまで考えてないですよ。昭和の男ですから」

玉川「ジェンダーなんて聞くと僕はビビっちゃうけどね」

最後に羽鳥が瀬古にこう聞く。

羽鳥「瀬古さん、早稲田は?」

瀬古「来年優勝です」

それぞれの出演者が自分に割り振られている役柄設定や性格設定を見事にわきまえて発言しているからこそ。短い間にこれだけ見事なトークが成り立つのである。石原良純の「危うきに近寄らず」も、正しい判断。当分、『羽鳥モーニングショー』の視聴率という岩石で出来た石垣は揺るがないだろう。

 

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