<「口コミサイト」の真実って何?>「口コミサイト」にクチコミは反映されない?


藤本貴之[東洋大学 准教授・博士(学術)]

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外食に行く時、インターネットの「口コミ」サイトを利用する人は多い。筆者も例外ではない。常にメディアからの「評価」に晒されているような有名店でなくても、近所の小さな大衆店など、意外と隅々まで「口コミ」が網羅されている。これはネット力の面目躍如といったところ。

特に、飲食店はウィンドウ・ショッピングができないので、実際に来店し、サービスを受けた人の生の「口コミ」は非常に有益な情報源となる。どの口コミサイトでも、★★★★★で採点され、メニューだけでなく、店の雰囲気や店員のサービスなども含めて評価されている。

さて、以前、筆者が某焼肉店に友人と行った時のことだ。決して、有名店や大規模チェーン店ではないが、口コミサイトを見れば、それなりに評価はされているようだ。味や食材・価格はまずまずといったところ。従業員のサービスも決して悪くない。

しかし、この店にはちょっと気になる問題点があった。

それは、店の什器類にやたらガタつきがあるのだ。もちろん、屋台や一杯飲み屋風の店であればそれでも構わない。しかし、駅近くにある、それなりの店構えの焼き肉屋である。

そのガタつきは相当なもので、椅子の位置を変えるために引っ張った時、手の小指をガタついた椅子の隙間に挟んで殴打、爪が紫に内出血し、血まみれ状態となった。これは筆者の不注意というよりも、明らかに不整備の問題だった。ケガに気づいた従業員が、不整備を詫び、直ぐに対応をしてくれたことには感謝をしている。

この経験を、私は「ものは試し」と、生まれて初めて飲食店の最大手「口コミ」サイトに訪問記を投稿してみた。具体的に書くと店舗を特定されてしまうので、記載した内容の概要を記す。

1.肉質や料理はごく普通に美味しい。
2.従業員のサービスは悪くない(ケガをした時の対応も評価)。
3.店舗の什器が不整備で使いづらい(筆者のケガとその危険性を指摘)。
4.有名店よりは安価なので焼き肉を純粋に堪能するには良いが、造作的にデートなどの利用には不向きかかもしれない。

以上のような内容での投稿だ。

すると後日、口コミサイトの運営から以下のようなメールが来た。

>*(上記3、4の箇所)*の部分が口コミガイドラインの

>「3.お店へ悪影響を及ぼすかつ内容の確認が困難な事象

>についての投稿はご遠慮ください。」

>に該当しておりましたので、大変申し訳ございませんが、

>下書き状態へ戻させていただきました。

つまり、「口コミ」がボツになった、という連絡である。

ケガをしてしまったものの、その恨みを晴らすような書き込みをしたわけでも、感情的な文章にしたわけでもない。むしろ、食材やスタッフの対応はそれなりの評価をして、今後のお客に益する客観的な情報を提供したつもりだ。

「ボツ」メールには以下のようなメッセージが続いていた。

>*(口コミサイト名)*は、お食事をした際の主観的な感想

>意見を共有する口コミサイトです。

>そのため、お店へ悪影響を及ぼすかつ事実関係の確認が困

>難な事象の投稿はご遠慮いただいております。

>大変お手数をお掛けしますが、口コミの修正をお願い致します。

このメールを読み、プラス評価以外は修正を指示する、という意味なのかとサイトの「口コミ性」に疑問を持った。

筆者のケガは、従業員にも現場の不備を確認してもらい、医薬品も提供してもらった。精算時には責任者と名刺と連絡先の交換もしている。そのことは「良いこと」としても軽く記載しているので、事実関係は明らかだ。

全ての「口コミ」サイトがそうではないのかもしれないが、掲載店舗を増やす(減らさない)ために、店舗にとってマイナスとなる情報を載せないという方向性。「口コミ」メディアの信頼性を低下させる危険性を有しているのではないだろうか。

 

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藤本貴之(ふじもと・たかゆき) 東洋大学総合情報学部・教授(情報デザイン論・メディア構造論)/北陸先端科学技術大学院大学・教育連携客員教授/藤本情報デザイン事務所・執行役員/JAGDA正会員/最先端のメディア研究・メディア技術の知見から、アカデミズムの枠を超え、企業や自治体などを対象としたメディア設計や情報発信戦略など、数々の実践的なプロジェクトを手がけている。主な著書に『だからデザイナーは炎上する(中央公論新社)』『情報デザインの想像力』『脳にアイデアを思いつかせる技術(講談社)』『映像メディアのプロになる!(河出書房新社)』など、多数。