<大衆的落語の挑戦>「志の輔らくご」は落語を超えたエンタテイメントになりうるか?


齋藤祐子[文化施設勤務]

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立川志の輔の勢いが止まらない。

売れっ子と呼ばれるようになって久しいが、都内で1カ月連続公演を成し遂げて以来、どこでもチケットは売出後、またたくまに完売する状況が続いている。こうなると落語公演と言うより、大物ポップスアーティストの公演と変わらない。

通常の独演会以外にも、独自の工夫の演目をかけることも多い。噺を始める前に複雑な人物相関図を解説してから、本来は長い続きものの噺であるはずの「牡丹灯籠」を凝縮して1時間半程度に縮めて口演したり、「中村仲蔵」の前に1時間あまりをかけて、忠臣蔵の場を描いた錦絵をスライドで見せて、全11段をざっと解説することもしていた。

とはいえ、解説の比重が多くなると後半の落語の理解を深めるためにせよ、セミナーでも聞かされているようで落語ファンとしては物足りない。そこで彼の進化が止まるのか、見巧者(聴き巧者)のファンが一部はさすがに離れるのか、と思われたのだが。

次の「志の輔らくご」で、演目として出されているのは「大忠臣蔵」、「中村仲蔵」の2席。どうやら解説から創作落語そのもので忠臣蔵のダイジェストを表現する模様。チケットはいつにも増して人気となった。立川談志が死んではや3年。

ラジカルというよりは、誰にでもわかる大衆的な落語を追求し続けた志の輔。その「落語を超えたエンタテイメント」への挑戦と進化はどこにゆくのか。目を離せない状況だ。

[メデイアゴン主筆・高橋の余計な一言]古今亭志ん生師匠はこんなことをおっしゃっています。

「間違って演っちゃったとしてもな、直したりしちゃいけねんだ、学校じゃねえんだから」

 

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齋藤祐子

齋藤祐子(さいとう・ゆうこ) 1984年、筑波大学卒。現在、文化施設に勤務。文化政策や現代美術、落語等の分野に関心が深い。