<萩本欽一インタビュー・緊急特別編>欽ちゃんが言った「木村拓哉」と『キング・オブ・コント2014』準優勝「チョコレートプラネット」の共通点


高橋秀樹[放送作家]

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「木村拓哉っていう俳優さんは、浅草の軽演技の芝居の仕方を知っているね」

と、欽ちゃん(萩本欽一)が言う。

「え、どういうことですか」

「それから、こないだのコントの番組、あれ準優勝したほう。あの二人も、最近の若い笑いにしちゃ、動きがわかってる」

『キングオブコント2014』に出た「チョコレートプラネット」のことである。

ずーっと大将(萩本欽一)の話を聞いている。通算で17時間にはなるだろう。突然言い出したこの発言の真意を聞いておかねばならない。

「キムタクと、浅草の軽演技は、何が関係があるんですか」

「木村くんはね、彼のドラマの演技を見てても、僕、恥ずかしくならない。僕はあんまりドラマ観ないけれど、たいていのドラマで、役者さんがセリフを言ってるところを見ると恥ずかしくなっちゃう」

「意味がわかりません」

「うん、恥ずかしいのはセリフとね、感情を表す動きが一緒なの。これは幼稚園のお遊戯会」

見ててごらん、と言って大将が立ち上がってがお遊戯をする。これが幼稚園生。

「♫うーさぎ、うさぎ、なに見て跳ねる、十五夜お月さん見て跳ねる」

「踊りの動き(つまり芝居)と歌詞(つまりセリフ)が同時だ。これじゃ大人の芝居にならない、浅草の笑いならば、歌詞と踊りをずらす。もう一回踊ってみるよ」

大将が、ずらしを入れて踊る。

「♫うーさぎ、うさぎ、なに見て跳ねる、十五夜お月さん見て跳ねる」

ただ、踊っているだけだけれど、おかしみが出る。

「木村くんは、浅草で修行したわけでもないし、笑いでもないけれど、この動きをずらすってことがわかっている。だから、大人の芝居になっていて、見ていても恥ずかしくない」

「木村さんは、なんの役をやっても芝居が同じなんて言われることもあるみたいですけれど」

「そんなこと言ったら、芝居が同じ人はたくさんいるよ。笠智衆さん。高倉健さん。おふたりとも名優だ」

志村喬さんもそうかもしれない、と、僕は思う。

「だから、芝居が同じってのは下手かどうかとは関係ない。セリフの気持ち、たとえば『やめなよ』っていうセリフを言う時に、同時には『やめなよ』っていう表情や動きをしない。必ず、ずらす、それが大人の芝居」

「僕は、ドラマにはでられない、だって、いまの、ドラマでは、役者さんが台詞と気持ちの動きを同時にしている。その中にずらす芝居の僕が入ると絶対に浮いちゃう」

「浅草で修行した伊東四朗さんはどうですか」

「伊東さんは状況で変えてる。両方できるから。僕には出来ない」

僕は、キムタクを大ボケにして大将が突っ込むシーンを妄想したが。言うのは止める。

「『キングオブコント2014』に出た「チョコレートプラネット」はどこがいいんですか」

「あれねえ。決勝はネタが悪くて負けちゃったけど。動きはピカイチだった。ネタをやったあとの手さばき、足さばきができるんだよ二人は。『ストライク』っていうセリフと動きが笑いを取るところだとすると、『ストライク』って、やった指の先をどこに持っていていいかわからなくなるのが素人。プロでもそういう人は多い。僕がやると、動きに7つ点が入る」

とやって見せてくれる。指先、肘、肩。膝、右目、左目、唇の端。たしかに7つ点が入っている。

「後は動きに入るときの構えってのが必要なんだけれど、それまた今度しゃべる」

「準優勝の彼らはね、動きの後の足や指を綺麗に収めることができている。収めてその後もっと笑いにできることに気付いたら、もっとよくなる」

事務所の三沢さんが、ポテトサラダサンドイッチが出してくれたので、一息入れる。こういう時の『美味しいは』ずらさなくてもいいだろうかと少し緊張するが、僕は。芸人でも役者でもないから、いいだろう。

そういえば、浅草の伝説の怪優、榎本健一は、エノケンと呼ばれていたが、木村拓哉はキムタクと呼ばれていることに気づいたが、それはあんまり関係ないだろうなあ。

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