<久米宏、夏目三久に“キュン死”>予定調和と破調を膳場貴子、安住紳一郎、 小野文恵、そして島田紳助から考える


高橋秀樹[放送作家]

 

5月31日放送の『久米宏 ラジオなんですけど』(TBS)で、久米宏が、夏目三久に言及した。久米は女好きだから(褒めている。大事な資質である)女を見る目は確かである。久米は『マツコ&有吉の怒り新党』で、夏目が号泣したことを捉えて,こう言った。

「この番組に関してだけは夏目三久さんのファン」

「号泣する夏目さんに“キュン死に”しました」

アナウンサーの大先達のこの意見は、夏目の宝である。心に記しておいて欲しい。

ナゼ、久米は“キュン死に”したのか、それは号泣することで「破調」がおこったからである。予定調和が崩れたからである。この「破調」を狙ってできる人は極めて少ない。狙ってでたのではない「破調」は本質である。現象が本質を引き出したのである。本質は恋人くらいにしか見せないから、久米は夏目の本質を見て自分が恋人になったような気になって“キュン死に”したのである。

「破調」を狙ってできる傑物がいた。島田紳助である。

紳助はよく泣くが。この泣きの半分は嘘泣きである。この作る「破調」、気づかれないということがすごいところだ。

僕は紳助の泣きを見た後よくこういった。

「紳助さん、悪党ですねえ(褒めている)」

紳助は僕の言葉にこう返す。

「何言うてんねん、俺は悲しかったんや」

とニヤニヤ笑いながら視線を送ってきた。

久米は前記の番組で夏目に対してこうも言い放った。

「他の番組はどうしてあんなにダメなんだ」

ダメなのは予定調和だからである。予定調和自体を悪く言う演出家がいるが、この人はわかっていない。番組はすべて予定調和である。その予定調和をうまく壊して行くための計画表として台本は出来上がっている。

「台本をそのままやったら面白いはずがないだろう」と、僕はいつも言う。

夏目程度の実力のアナウンサーに予定調和の台本を提示しないで、番組をやるのは恐ろしい。だから、夏目に望むのはその予定調和の台本をほんの少しでも自分の言葉にして表現してくれということだ。だが、このことを夏目に自分の言葉で伝えられるディレクターもまた少ない。

予定調和を破調にする方法は体験で学ぶしかないが、ハウツーで出来る方法を一つだけ書いておこう。クイズ番組では、演出で回答者が答を知っている時がある。また、他の番組ですでに見て知っている最低のクイズが出されることがある。その場合、回答者はどうやって破調を作るか。

「ちからを従来の3分の1にする」のである。ちからは表現方法のすべてを含んだ言葉。

見ているとわかるが「破調」のできるアナウンサーはできるやつが多い。

安住紳一郎は、紳助タイプの悪党。

有働由美子は、「破調」だけで持っている。この方法は「破調」をエスカレートするしかないので、逃げるところを考えておかないと先が心配だ。

「破調」のイチ押しは小野文恵アナウンサー。そのうまい破調の小出しぶりは『ためしてガッテン』や『鶴瓶の家族に乾杯』でよりも、『週刊 ニュース深読み』でより如実に感じる事ができる。志の輔や鶴瓶などの頸を離れてメイン司会として自由に振る舞っているからだろう。

元々が「予定調和」のNHKにこうした「破調」のうまい人がいるのはナゼか。

基礎である「予定調和」をみっちり仕込まれているからである。

 

【あわせて読みたい】