<26時?テレビ業界の時間>報道マンもテレビ局志望の就活生も知っておきたいテレビ事情

テレビ

藤沢隆[テレビ・プロデューサー/ディレクター
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いま、テレビ業界で「テッペン」と言えば「夜中の0時」のことです。時計の針が「テッペン」を指しているからでしょう。これを越えると「25時、26時」で、放送業界では24時を越えた時間が27時台ぐらいまでは普通に使われています。
それ以降となると、そろそろ深夜番組ではなくて早朝番組の時間帯になるからでしょうか。「28時、29時」とはあまり言わないような気がします。
では、何時からの番組が深夜番組なのかというと、明確な規定はなさそうですが「ギョーカイ」では慣例的に「23時~早朝まで」の番組を言うようです。
以前にNHK放送文化研究所が行った調査では、一般の方の感覚では「午前0時台~午前2時台」が“深夜”のようですが、厳密に“深夜”とは何時から何時までなのかを言うのは意外と難しいのです。
たとえば労基法の深夜労働(22時以降)や風営法の深夜営業時間(午前0時以降)と、法律でも違いがあるくらいですから、一概には言えないようなのです。深夜に似た“夜中”はというと「23時から午前2時台」と受けとめる一般の方が多いようです。
時間の表現をとても大事にしているのが気象庁の天気予報です。ホームページを見るととても詳しく言葉の説明が載っています。
たとえば『しばらくは、ぐずついた天気が続きそうです』という場合の“しばらく”とはどれくらいの時間かというと「2~3日以上で1週間以内の期間を指す」とあります。なるほど。
では“深夜”はというと、これがありません。「夜遅く」「未明」「明け方」「夜明け」などを用い“深夜”という表現は天気予報では使わないようです。
さて、ここでやっかいなのが“未明”という言葉です。NHKの調査によれば、一般の方々は“未明”とは「午前2時台~午前4時台」と受けとめる方が多いとされています。辞書で“未明”をひけば『夜が明けきらない時』などと説明されますからまあ当然ですね。
ところが気象庁の天気用語では“未明”とは「午前0時から午前3時頃まで」となっていますし、放送各局も天気予報に限らず“未明”を「午前0時から午前3時頃まで」というつもりで使うことが多いので、一般の視聴者の感覚とはかなりずれてしまいます。
“深夜”が早朝までを指すとすると、“未明”は“深夜”の一部だったり、場合によっては“未明”のあとに“深夜”がやって来たりすることになります。ちょっと感覚的にはしっくりしない方も多いのではないでしょうか。
(テレビ業界の時間表現について、ちょっと興味深い実例がありましたので、次回の記事でご紹介したいと思います)
 
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