大新聞が得意の世論調査をやればいい -植草一秀

植草一秀[経済評論家]

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菅義偉内閣が発足して間もなく半年の時間が流れる。この間、内閣支持率は下落の一途を辿った。さらに内閣支持率が下落し、危険水域となる3割割れに移行しないよう、一部メディアが不自然な世論調査結果を発表し始めている。

日本経済新聞元経済部長でテレビ東京副社長(当時)の池内正人氏は、2010年9月14日に実施された民主党代表選に関して、インターネット上のサイト「あらたにす」に、次のように記述した。

「大新聞が得意の世論調査をやればいい」

「これが国政選挙の場合だったら、この種の世論調査は不可能だ。選挙法に触れるかもしれない。しかし一政党内の選挙ならば、規制する法律はないと思う」

2010年9月14日の民主党代表選は小沢一郎氏と菅直人氏による一騎打ちの代表選で、この選挙で小沢一郎氏が当選していれば、小沢一郎政権が誕生していた。日本政治の分岐点になったはずの選挙だ。池内氏の主張は、大新聞が得意の世論調査を実施して小沢一郎氏落選を誘導するべきだと解釈できるもの。このように解釈できる理由を池内氏が明言している。

池内氏は小沢一郎氏出馬について、

「仮に小沢氏あるいは鳩山氏が立候補するとすれば、重大な問題を引き起こす可能性がある。この両氏は「政治とカネ」の問題で、民主党の代表と幹事長の職を辞したばかりだ。もし当選すれば、そのまま総理大臣に選出される。特に小沢氏の場合は、首相になってしまうと検察審査会の権限も及ばなくなるという。国民は民主党の規約に口出しはできない。その間隙を縫って、一国の最高首脳が国民の手が届かないところで誕生する形になる。これは議会制民主主義の盲点かもしれない。」

池内氏は小沢氏を当選させないために、「大新聞が得意の世論調査をやればいい」と述べたと推察される。小沢氏と鳩山氏が民主党代表、幹事長職を辞したのは、西松事件の勃発で次期衆院選に悪影響が生じる懸念があり、その影響を排除することが理由だった。西松事件勃発に伴う引責辞任でない。小沢氏は無実潔白を明確に述べていた。しかし、メディアの攻撃によって次期衆院選に悪影響が生じるため、「筋を曲げて」民主党代表職を辞した。池内氏はメディアに身を置きながら、事実を正確に伝えず、誤導をもたらす発言を示した。

因みに、「西松事件」とは、西松検察関連の二つの政治団体「未来産業研究会」、「新政治問題研究会」からの寄附を事実通りに記載した政治資金収支報告について、検察が「虚偽記載」として小沢一郎氏資金管理団体の責任者を逮捕した事案だ。同じ事務処理を行った政治家資金管理団体は10以上存在したが、検察は小沢氏の資金管理団体だけを立件した。当時の漆間巌官房副長官が「この問題は自民党には波及しない」と発言して問題になった。

2010年1月13日の西松事件第2回公判で西松建設元取締役総務部長の岡崎彰文氏が、二つの政治団体に事務所があり、専従の職員が存在することを証言した。この瞬間に、小沢氏事務所の収支報告は正真正銘の適正な報告であったことが確定した。検察はその後、冤罪ねつ造を隠蔽するために、小沢氏資金管理団体による世田谷不動産取得の収支報告への記載が「虚偽記載」だとする無謀な犯罪創出に突き進んだが、この事案も明白な冤罪ねつ造であった。

閑話休題。

テレビ東京副社長による「世論調査を利用する」発言を見落とすことはできない。直近の世論調査から、日経新聞と読売新聞による、菅内閣支持率下落の流れを変えようとする人為的な匂いが立ち込める。五輪を有観客で開催することを支持する国民が多いかのような世論調査結果も極めてミスリーディングだ。そもそも、五輪を開催するべきでないと考える国民が全体の7割ないし8割以上だ。

怪しげな世論調査に惑わされることなく菅内閣の早期退場を実現しなければならない。

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