<2015年春ドラマPart1>フジ「戦う!書店ガール」VS TBS「マザー・ゲーム」は女の共感の戦い


黒田麻衣子[国語教師(専門・平安文学)]

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キムタクがお父さんやっちゃった! 半沢直樹が今度は精神科医だってよ! 優子が、まゆゆが、山Pが!

春ドラマが始まって、はや数週間。ネットでは毎日のように、ドラマについての投稿を見かける。アラフォーの筆者が中高生の頃は、トレンディドラマ大流行でOA翌日の学校や職場の話題のために、流行りのドラマを視聴しておくことはマストであった気がする。

今は、人の趣向も多様化し、「半沢直樹」(TBS)ぐらいのオバケドラマでない限り、ドラマを見てなくとも翌日の話題に困るようなことはなくなった。おかげで、ドラマの視聴率も、昔ほど高い数字が出ることは少なくなった。

とはいえ、ドラマ好きは昔と同じぐらい存在しているし、その人たちは、やっぱり毎クール、ドラマを見ている。その中で、視聴率の出る作品、出ない作品の違いは何なのか。多くのドラマ愛好者は、とりあえず初回を見て「継続視聴」か「脱落」かを仕分けると思うが、その分岐点はどこにあるのか、今期のドラマを題材に、分析してみた。

なお、これは一視聴者である筆者の勝手な分析であることを先に記しておく。

◼︎火曜日22時三つどもえの戦いに見る、女の「共感」

火曜日22時は、NHK、TBS、フジテレビの3局がいずれも大人女子をターゲットにしたドラマを制作している3つ巴のガチンコ対決枠だ。毎回、各局が珠玉の作品を並べてくれる。

試しに、直近の3クール作品を並べてみた。

  • NHK:春『美女と男子』・冬『全力離婚相談』・秋『さよなら私』『聖女』
  • TBS:春『マザー・ゲーム』・冬『まっしろ』・秋『女はそれを許さない』
  • フジ:冬『銭の戦争』『ゴーストライター』・秋『素敵な選TAXI』『すべてがFになる』

フジは前クールまで、火曜日に21時、22時と2本のドラマを制作していたが、今期から22時1本に絞ってきた。

21時台の女子向け作品を22時にシフトしてきたようだ。3局の作品すべてがハズレということはまず無いので、火曜日22時は、安心してテレビの前に居座れる時間帯だ。ご覧のとおり、この枠のドラマでは、女性が主人公となることが多い。働く女性の等身大を描いてみせて、女性の共感を得ようという枠のようである。

ここは、ダブ録でも足りない3つ巴の戦いなので、毎回どれを落とすか悩ましいところだが、今回は早くもTBSが一人勝ちしそうな予感がしている。

昨年は強敵NHKが『聖女』や『さよなら私』など、見応えのあるドラマを連発していたので、民放は押され気味だったが、今年に入ってNHKは迷走気味だ。

今期のNHK『美女と男子』の主演は、仲間由紀恵さん。蓮さまアゲインなら一人勝ちしたのだろうが、初回放送を見る限りでは、この仲間由紀恵を見たい、と思ってもらえるかどうか。何せこの主人公、プライドが高く、人を見下すサイテーな女である。

共感できそうもない主人公の人物設定は、危険だと思う。だが、NHKはこれを全20回のロングランで放送するらしい。きっとこの後の展開で、彼女は変化していくのだと期待したい。

TBSの『マザー・ゲーム』とフジの『戦う!書店ガール』は、どちらも女性からすると「おまえ、空気読めよ!」という主人公で、「言ってることは正論だけど、もうちょっと言い方とか、あるよね?」と思わせておいての、反撃!!という展開で、まさに両局のガチンコ対決な予感で始まった初回だった。

違うのは、(あくまでもアラフォーの、ドラマ好き女性目線だが)TBSが主人公の木村文乃に共感させる脚本であるのに対して、フジは、稲森いずみを配し、稲森いずみ目線で共感させる脚本ということ。

だから、一見するとTBSの方が重たい内容に見えるけど、観ている筆者が強く心を動かされたのは、初回ではフジだった。稲森いずみと一緒に、ムカついたりドキっとしたり・・・。庶民からすると、TBSは「ありえない世界」、フジは「等身大」。

この枠のガチンコ対決に、ワクワクしたのは、だが初回だけだった。(つづく)

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黒田麻衣子

黒田麻衣子(くろだ まいこ) 徳島テレビ祭スタッフ。もと高校国語教師。ドラマ好きのアラフォーおばちゃん。「平安時代文学の広報部長」。現在、徳島に高校生・大学生の社会体験を支援する団体『ソーシャル・ポート』設立準備中。