「アメトーーク」はセコいものを褒める回では面白くなる可能性がある


高橋維新[弁護士]

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2015年9月3日放映のテレビ朝日「アメトーーク」のテーマは、「博多屋台大好き芸人」。博多華丸・大吉を筆頭とする九州芸人たちが、博多屋台の魅力を伝えるという回であった。

「何かを褒める回」は「面白くない」というルールに当てはまるので、出来は危惧された。しかし、結果的に、全体的にはおもしろい仕上がりになっていた。

博多華丸・大吉、川島明、ケンドーコバヤシという「『何かを褒める回』でも何とかして笑いをとろうとする」というプロ意識の高い芸人が揃っていたので、ボケの数も足りていたということだろう。

あとは、褒める対象が「博多屋台」というあまり金の臭いがしない題材だったことも関係しているだろう。最近の「何かを褒める回」として記憶にあるのは「ストⅡ芸人」「スーパーマリオ芸人」「キングダム芸人」「スポーツ新聞芸人」などであるが、いずれもCAPCOM、任天堂、集英社、あるいは各種新聞社といった「大」企業による宣伝や告知の気配が背後に感じられてしまったから、それが終始鼻についたのである。

番組がおもしろいと感じて決めた題材ではなくて、企業の側が「うちの商品を宣伝してくれ」と持ち込んだ企画かもしれない。企業の側が持ち込んだ企画なら、題材をけなすことは難しくなり、笑いも生まれにくい。出演している芸人も心底その題材が好きなわけじゃなくて、ギャラに釣られて集められただけで、嘘をついているのかもしれない。

一度そういう疑念を抱いてしまうと、「○○はすごい」だの「○○はおもしろい」だのと言われても白けてしまう。そもそも嘘をついていると、本心から言っている場合よりトークに深みが出ない場合が多い。

本当のことを言っていないのだから、「なぜ好きなのだ」と聞かれてもあまり広がらないのである(もちろんここを広げるのが演者の腕であり、嘘だと感じさせないほどに話を広げられる芸人もいるのだが)。

ところが今回の「博多屋台」は褒められる対象がこのような大企業ではなく、こじんまりとした屋台たちであったため、そもそもその店主たちがこの企画を「アメトーーク」に持ち込んだとは考えにくい。博多華丸・大吉が、本心から好きな博多の屋台を、本心から褒めているように見えた。

だから彼らによる屋台の紹介も面白味と深みがあったということである。

もっともそれは筆者がそのように感じたというだけであり、博多華丸・大吉も本当は博多屋台が好きではない可能性もある。そうだとしたら、そのように感じさせなかったのは、先述の通り彼らの腕に他ならない。この2人がそんな芸人だとは思いたくないが。

さて、筆者は「アメトーーク」の感想を毎回記事にしているが、最近とみにビュー数が落ちてきているらしい。それはひとえに、筆者の記事がおもしろくないからである。

おもしろくないのはなぜかと言えば、毎回同じようなことを書いているからである。何が書いてあるかの予想がつくからである。そして、毎回同じようなことを書かざるを得ないのは、「アメトーーク」が毎回同じようなことしかやっていないからである。

その状態でもおもしろい記事を書く責任は筆者にあるのだが、作り手は「アメトーーク」がそういう番組だということには十分自覚的であるべきだと考える。

毎回同じようなことをやっていると、飽きられる危険があるが、うまくするとサザエさんや笑点のような超長寿番組になる可能性もある。毎回同じことをやっているのに超長寿番組になるというのは、とりもなおさず、「点けているだけで真剣に見ない空気のような番組」になるということでもあるのだが。

「空気」で分かりにくければ、スピードラーニングのように聞き流す生活のBGMと言ってもいい。

<出演者寸評>5点満点で採点してみた。

【博多華丸】(博多華丸・大吉)4.0点

コンビ以外の3人のメンツが頼りない中で、博多屋台を褒める、ボケる、いい話をする、スカすなど縦横無尽の活躍をしていた。

【博多大吉】(博多華丸・大吉)4.1点

華丸に同じく実に利いていた。華丸や黒瀬のスベリに対応できていたので華丸より0.1点加点している。

【黒瀬純】(パンクブーブー)1.9点

少しおもしろいエピソードを話していた程度。エピソードも1個はスベっていた。周りのフォローでおもしろくなってはいたが。

漫才は非常におもしろいので、フリートークがここまでできないなら無理してテレビに出てこなくてもいいのだが。

【斉藤優】(パラシュート部隊)1.9点

黒瀬から漫才のおもしろさを引いた感じ。

【川原豪介】(BLUE RIVER)1.9点

斉藤に同じ。

【川島明】(麒麟)3.7点

どんな回でも必ずおもしろい話を挟むという川島の生真面目さが非常に出ていたので高評価。

【ケンドーコバヤシ】3.9点

基本的には川島に同じ。最後に出てきた安田美沙子にひたすら男性器名を連呼させるVTRは、彼の面目躍如である。「博多屋台芸人」という食のテーマでここまでふざけられるのはケンコバの芸人魂そのものであり、その分川島より点数を高くしたのだが、完全なる下ネタなので博多華丸・大吉よりは点を下げた。

【宮迫博之】(雨上がり決死隊)3.5点

及第点の動き。可もなく不可もなく。

【蛍原徹】(雨上がり決死隊)0.4点

全体的に行方不明だった。

【小島瑠璃子】2.5点

立ち位置としては、川島やケンコバと同じく博多屋台の紹介を受ける聞き手の役。「おいしそう」とか「(屋台に)行きたい」という優等生コメントの量は申し分なかったが、それだけだったのでこの点数である。アメトーークの仕事を受けたからには、芸人ではなくても笑いに貢献することを意識してほしい。

優等生コメントについても、あまり理由とかをしゃべっていなかったので本心から言ってないのではないかという疑念が消えず、鼻についた。もう少し自分の発言に説得力を持たせてコメント一つ一つの「質」を上げる方向でやってほしい。

【安田美沙子】2.9点

VTRでの出演。華丸やケンコバの要求に応える演技が最低限できていたとは思うが、芝居がまだまだヘタなのでもっと磨ける。まあ、好きな人からするとこのヘタさがいい部分はあるんだろうが。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。