<子宮頸がん予防ワクチン>国は対応策を早くに国民に提示せよ


松井宏夫[医療ジャーナリスト]

 

昨年4月、厚労省は子宮頸がん予防のHPVワクチンを定期接種化したが、わずか2か月後に接種の勧奨が中止された。

その理由は『慢性疼痛』『記憶障害』『運動障害』といった副作用が問題視されたためである。「針を刺すことで起きている可能性が否定できない」など、ワクチンとの因果関係はないとする意見が出ている。

海外でもその意見が多く、WHOも「HPVワクチンの安全性に疑問をはさむ余地はない」と。ただ、フランス、カナダなど多くの国で安全性を疑問視する声が出てきている。

確かにワクチンでの予防は幸せなことで、人々の願いである。が、それで犠牲者を出したのでは幸せとはいえない。

HPVワクチンは子宮頸がんを100%予防できるものではない。日本人では60~70%の予防である。ここは1度立ち止まって、きちっと世界の中で疑問を呈する国々が一緒になって安全性を確認するべきではないだろうか。

もちろん中止にする道も結果次第では出てくるだろう。それまでは年に1度の定期検診で乗り切る――。国内では日本線維筋痛症学会が研究チームを立ち上げ、独自に調査・研究を開始した。

とにかく、国は対応策を早くに国民に提示しないと、国民は右往左往するしかなくなってしまうのである。この提示は遅れてはいけない。

 

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松井宏夫(まつい・ひろお) 医学ジャーナリスト 1951年 富山県生まれ。中央大学卒。日本ドキュメントフィルム助監督、『週刊サンケイ』を経てフリーに。最先端医療やがん医療を精力的に取材。名医本のパイオニア。日本医学ジャーナリスト協会幹事、東邦大学医学部客員教授。最新刊に『がんと闘う!名医と最新治療』(主婦と生活社)。著書多数。