ピコ太郎「PPAP」がネット上で爆発的に広がった理由


茂木健一郎[脳科学者]

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ピコ太郎さんの「PPAP」(Pen-Pineapple-Apple-Pen)が世界を席巻している。本稿ではこのミーム(文化の遺伝子)について考えたい。

ジャスティン・ビーバーさんが「今インターネットではまっている動画」とツイートしたことがひとつのきっかけだと言われているが、ネットのミームを集成するサイトの流れを見ると、それ以前にネット上では広まっていたことがわかる。

鍵となるのは、「本家」であるピコ太郎さんの動画はもちろんだが、多くの「カバー」、「パロディー」が生まれて、それらの動画も多くのビューワー数を稼いでいった、という点にある。「本家」+「カバー」のパワーで、PPAPは一気に広がっていったのだ。

PPAPはカバーやパロディーが、lip dub(口パク)で作りやすかった、ということも一つの大きなポイントかもしれない。ピコ太郎さんの音声トラックを用いて、さまざまな人がそれぞれのPPAPをつくったことで、ミームが一気に広がった。

【参考】ちゃんとしていた「レコード大賞」はテレビとともに消えた?

「本家」であるピコ太郎さんの独特の存在感がブームに火をつけたことは言うまでもない。ヒョウ柄で、サングラスをかけ、ちょっと「こわそう」だけれども、意外とチャーミングで、ナンセンスなことを言う、そのギャップが受けたのだろう。

PPAPのミームは、ドリフターズの荒井注さんのThis is a penに始まる、日本人の拙い英語、という流れを下敷きとしているものの、世界でこの動画を見ている人たちは、必ずしもそのような文脈では見ていないようである。

PPAPを見た子どもたちの反応を集めた動画を見ても、子どもたちは普通に「おもしろい人」「面白いおじさん」と見ていて、そこに、英語が苦手な日本人というローカル的な認識はあまりないようだ。そこがミームとして跳躍している点だろう。

コピー、カバーのやりやすさから、PPAPはネット上に無数の派生動画を生み出しているが、9つの異なるスタイルでPPAPをやる動画が私には面白かった。よく知らないミュージシャンもいて、そっちの勉強にもなったからだ。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。