社会の多様性を許容することは「自分自身の幅」を広げること – 茂木健一郎


茂木健一郎[脳科学者]

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現代社会において大切な価値観の一つは「多様性」である。さまざまな傾向、資質を持った人たちが集まらないとシステムとしても力を発揮できないし、社会全体としての頑健性も増すことがない。

「同じである」というモノカルチャーは安心感はあるかもしれないが、発展性がない。破壊的イノベーションは、集団の中にさまざまな個性をもった人がいることで初めて起こすことができる。だからこそ、異質な他者に対して寛容である必要がある。

ここで重要なのは、多様性は他人の中にだけでなく、自分の中にもあるということである。社会をモノカルチャーとして見がちな人は、自分自身も単純にとらえがちだ。しかし、実際には、一人の人間の中に異なるさまざまな傾向があるのである。

【参考】<「やる気」は不要>「やる気が出ない」を言い訳にして何もしない人たち

自分の中に強さと弱さと、がんばり屋となまけ者と、勇気ある者と臆病な者と、勝利者と敗者と、愛する者と憎む者と、さまざまな人間が共存していることを見ることができる人は、結果としてそのような自分の中の多様性を活かすことができる。

社会の中に多様な人がいることを許容できる人は、それらの多様さが自分の中にも鏡のように映されていることを感じることができる。さまざまな色、響きに呼応する自分の中の何かがあるからこそ、それらのものを許すことができるのである。

社会の中の多様性を許容することは、自分自身の幅を広げることにつながる。つまり、多様性に向き合うことが、自分の可能性を耕すことに結びつくのである。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。