<「仕事を紹介しない」が入社の条件?>作家養成講座では文筆家になれない本当の理由


高橋秀樹[放送作家]

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筆者は、日本放送作家協会の主催する作家養成スクール「藤本義一・市川森一記念 東京作家大学」の講師に就任することとなった。先日、その入学希望者に対する模擬授業があった。筆者が講義するの科目は「Webライティング」である。

世の中には「物が書きたい」と思う人がたくさんいるものだ、と痛感させられた。平均年齢は40歳位だろうか。女性が6割を占めている。

講師に就任しておいて「お前は何を言うのか」と怒られるかもしれないが、こういう講座を受講して、文筆家や、脚本家になれるかというと、答えは「なれない」だ。ちょっと考えればすぐわかることだが、文筆家や脚本家は学校に通って取得するような資格ではないからだ。

「絶対にプロになりたい」と思うならば、学校などに通うより、小説の新人賞や、脚本賞に応募する作品を書き続けた方が良い。ラジオの投稿ハガキを書き続けたほうが良い。旅行に行った方が良い。人がやったことのない仕事について働いた方が良い。

もし、物書きを目指しながら仕事に就くなら、できるだけ単純な繰り返しを長時間こなさなければならないような仕事がお薦めだ。こういう仕事をすると、猛烈に何かを表現したくなる。それがプロへの道を開くはずだ。

もちろん、物書きを目指している人が、こういった学校に入る意味もある。例えば、プロになるのに、きっかけを探したいという人や、自分史を書くのに起承転結はどうするのかを学びたいというような人たちだ。そういう人たちであれば、こういった学校に通っても意味があるかもしれない。

「プロになれたのは人脈があったからだ」という文筆家は、けっこう存在する。また、筆者が講義する「東京作家大学」がその名を冠する、藤本義一さんも市川森一さん自身も学校に通ってプロになれたわけではない。

例えば、「物書きになる」という意味では筆者が主催する放送作家事務所は次の条件を飲まない限り所属できない。

「仕事は紹介しない」

 

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