<“痩せる”糖尿病薬に要注意>クスリは逆から読むと“リスク”〜薬にはすべて副作用があることに注意


松井宏夫[医療ジャーナリスト]

 

今年4月に糖尿病治療の新薬が登場。それは『SGLT2阻害薬』で、今年中には6種類になる。

“画期的なやせる薬”という報道のされ方をしており、患者の中には主治医に「やせる薬を下さい」と言って聞かない患者もいるという。そのため説得するのに困っている医師が少なくない。

ブドウ糖は腎臓でろ過されて尿となるが、そこですぐにSGLT2と SGLT1によって再吸収される。そのため健常人では尿にブドウ糖が出ることはない。再吸収の働きは、SGLT2が90%を占めているので、SGLT2阻害薬はそのSGLT2の作用を阻害することで余分なブドウ糖を尿と一緒に排出し、血糖をコントロールしようというのである。

エネルギーの素であるブドウ糖を尿と一緒に排出するので、やせることには結びつく。だが、尿と一緒にブドウ糖が排泄されるので、尿路・性器感染症が増える副作用がある。さらに水分がこれまでより1日約300ml多く失われるので心筋梗塞や脳梗塞が発症するリスクがアップする。

だからこそ適応者を選択して処方される。適応者は「腎機能の悪くない人」「40代、50代の若くて太っている人」。クスリは逆から読むと“リスク”――やせる薬!と飛びつくのではなく、しっかり主治医と話し合って決めるべきである。

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松井宏夫(まつい・ひろお) 医学ジャーナリスト 1951年 富山県生まれ。中央大学卒。日本ドキュメントフィルム助監督、『週刊サンケイ』を経てフリーに。最先端医療やがん医療を精力的に取材。名医本のパイオニア。日本医学ジャーナリスト協会幹事、東邦大学医学部客員教授。最新刊に『がんと闘う!名医と最新治療』(主婦と生活社)。著書多数。